なぜストレスで過食してしまうのか?
ストレスと過食の関係性
通常、満腹になれば食事を止めます。これは脂肪細胞から分泌されるレプチンと、胃から分泌されるグレリンというホルモンが脳の視床下部へ伝わり、満腹中枢を刺激するためです。しかし、過度なストレスを感じることでこの機能が狂います。まず、強いストレスを感じるとその情報が自律神経やホルモンの分泌に関わる視床下部に伝わり、副腎に届きます。副腎にはストレスに抵抗するホルモンを分泌する機能がありますが、ストレスが強いとそのホルモンの分泌が減ってしまい、結果的に満腹中枢が正常に機能しなくなります。
また、ストレスを感じると脳の大脳辺縁系が興奮し、ドーパミンが大量に分泌されます。ドーパミンが摂食中枢を刺激することで食欲が盛んになり、過食してしまいます。さらに、大量のドーパミンは脳内伝達物質のセロトニンを低下させる原因になります。セロトニンは精神の安定や食欲の抑制に作用しますが、食事で糖分を摂取することで分泌され、同時にインスリンの分泌も促します。糖分には抑うつ感を和らげる効果があるため、ストレスによる精神の揺らぎを解消するために、過食してしまいます。
以上が、ストレスと過食の関係性です。
感情に反応して過食が始まる
多忙で仕事中は満足に食事ができず、帰宅してから大量に食べてしまったという経験のある看護師も多いでしょう。人間には感情が備わっているので、頭の中を整理する前に美味しいご飯を食べた方が手っ取り早く心を落ち着かせることができます。しかし、この開放感は最後のひと口を食べればなくなってしまいます。そのため、ストレスによる過食に慣れてしまうと止め方が分からなくなってしまうのです。
ストレスによる過食は身体が栄養を求めるだけでなく、感情に反応している部分も大きいです。そこまで空腹ではないのに、大量のご飯を食べてしまうのはストレスによる過食の典型的なパターンです。食事は本来穏やかな時間です。そのため、マイナスの感情を処理するためにご飯を食べたくなります。また、食事は身体の感覚をすべて刺激するものです。味覚だけでなく、舌触りや香り、自分の咀嚼音などを楽しみながら食事をします。感覚をすべて使うので、他のことを考えずに済み心が落ち着きます。ストレスを感じている時は特にその傾向が強くなります。
しかし、過食によってストレスが軽減することはありません。食事のような外的因子に依存せずとも、ストレスに対処することは可能です。まずは、過食のきっかけとなっているストレスの原因を探し、解消していきましょう。
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